第429回例会(Web#47) 2025.3.29

2025年3月例会チラシ
日本海事史学会 第428回例会(Web#46)

第2次世界大戦後の海運環境の変化と
武力紛争法への影響

講師:浦口 薫(うらぐち かおる・会員)

2025年3月29日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 国際法の形成は、その当時の国際環境の影響を受け、とりわけ、武力紛争法の発展は成立当時の軍事科学技術の発展状況と切り離して考えることができない。海戦法規は帆船の時代の国家実行の蓄積を通じて徐々に形成され、1856年のパリ宣言と1909年のロンドン宣言を中核とする慣習法として結実した。しかし、帆船は動力船に切り替わり、貨物を船倉に直接積み込んでいた貨物船はコンテナ船が中心となり、近年では無人運航船の実現が目前に迫っている。このような現実に対して、「時代を超越した規則(Timeless Rules)」とも評される海戦法規が上手く対応できたのか、また、これからも上手く対応していけるのかについては疑問が残る。本報告では、第2次世界大戦後の海運環境の変化として、特に顕著といえる貨物のコンテナ化と商船の大型化、便宜置籍船の増加及び無人運航船の登場に焦点を当て、それらが海戦法規に及ぼした影響を分析する。

    【講師プロフィール】
    ■浦口 薫(うらぐち かおる・・日本海事史学会会員)
    防衛大学校国際関係論学科卒業後、海上自衛隊入隊。防大総合安全保障研究科前期課程修了(山﨑学生奨励賞受賞)、同後期課程満期退学。2020年に大阪大学より博士号(国際公共政策)授与。潜水艦部隊、統合幕僚監部等での勤務や中曽根平和研究所主任研究員等の研究活動を経て、現在、防大国防論教育室准教授(2等海佐)。
    著書:『封鎖法の現代的意義』(大阪大学出版会、2023年)(猪木正道賞奨励賞受賞)。
    論文:『海事史研究』第81号に「第二次世界大戦後の海運環境の変化と海戦法規への影響」の寄稿があるほか、多数の査読論文あり。
    学会報告:「海上封鎖の現代的意義」国際法学会への報告、2022年9月等。
    専門:海洋安全保障、国際法(特に海戦法規、海洋法)。
    所属学会:日本海事史学会、日本防衛学会、国際法学会、世界法学会、防衛法学会、国際安全保障学会等。

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