第427回例会(Web#45) 2025.1.25

2025年1月例会チラシ
日本海事史学会 第427回例会(Web#45)

淀水垂大下津町遺跡から出土した江戸時代の川船について
―(公財)京都市埋蔵文化財研究所・訪問記録より―

講師:影山 和則(かげやま かずのり・会員)
ゲスト:中谷俊哉氏ほか(京都市埋蔵文化財研究所学芸員)

2025年1月25日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 京都市伏見区の桂川西岸で、江戸時代前期の木造の川船が出土した。(公財)京都市埋蔵文化財研究所の調査は2021年11月〜2024年5月に行われ船6隻が確認された。今後の調査でも新た船が見つかる可能性が高く、木造の船を造る技術が発達した歴史を解明する上で貴重な発見という。そして、出土した川船に丸太をくりぬいた木材を使う「オモキ造り」の構造が確認された。淀川の船の歴史で刳船、復材刳船、準構造船などに至る変化に新たな見解が生まれる可能性があると期待されている。今回は、(公財)京都市埋蔵文化財研究所のご厚意により「オモキ造り」の川船を見学させていただくことができたので報告させていただく。また、京都市埋蔵文化財研究所の方も例会での意見を伺いたいということでWebで参加していただくことになった。

【講師プロフィール】
■影山 和則(かげやま かずのり・日本海事史学会会員)
1954年生まれ
大学卒業後、1979年から2019年まで埼玉県の試験研究機関に勤務。伝統工芸の製品開発、職人技術継承等に取り組んできた。日本海事史学会には学生の頃から参加し高瀬舟等の資料を集め論文を投稿してきた。著書に「ものが生まれる産地、ものを輝かせるデザイン」等。
現在、さいたま市産業創造財団、武蔵野美術大学、滋賀県立大学、明星大学等の特別講師。

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第421回例会(Web#40) 2024.4.27

2024年4月例会チラシ
日本海事史学会 第421回例会(Web#40)

古地図から読み解く江戸湊の発展(その4)
~川船の登録と税の取り立てをした川船改番所~

講師:谷 弘(たに ひろし・会員)

2024年4月27日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 小名木川は、行徳塩を輸送するため、徳川家康が江戸に入府して一番に開いた水路である。しかし、江戸が発展するにつれて、銚子から利根川を遡り、関宿から江戸川を下って物資を江戸に運ぶ「内川回し」水路の一部として重要になった。小名木川の「中川船番所」は有名で、区立資料館まで設けられている。
 しかし、東京都中央図書館が所蔵する「本所猿江亀戸村辺絵図」(1851)を拡大してよくよく見ると、小名木川と大横川交点の三つの橋近くに別の「川船改役所(番所)」がある。中川船番所が、箱根等と同様、「入り鉄砲に出女」取締関所の役割を持っていたのに対して、猿江船改番所は、勘定奉行に属し、川船奉行(川船改役)の出先機関として、水運業を営む船舶を管理するため、船の大きさを測り、川船年貢手形の発行や極印の検査を行うとともに、登録船から年貢・役銀を徴収していた。私も運輸省船舶局検査測度課で同じような仕事をしていたので、大変興味深い所である。

【講師プロフィール】
谷 弘(たに ひろし・日本海事史学会会員)

1963年海上保安大学校本科卒、同大研修科甲修了、海上保安庁、運輸省、総理府、科学技術庁等に勤務。運輸省運輸政策局技術安全課長、科学技術庁原子力安全局次長、国際原子力機関(IAEA)査察情報処理部長、海洋科学技術センター(JAMSTEC)特任参事、日本原子力研究所理事等を歴任。
著書に「江戸の町造りと船」(文芸社)、「千石船の湊を訪ねて」(芸立出版社)、「海洋開発技術ハンドブック」(共著 朝倉書店)、「全面核実験禁止条約とその発効に向けた準備作業」(JAERI-Review)等。

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第417回例会(Web#36) 2023.12.23

2023年12月例会チラシ
日本海事史学会 第417回例会(Web#36)

富山県の川舟について ―現存資料からみた構造と分類―

講師:廣瀬 直樹(ひろせ なおき・会員)

2023年12月23日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 

 かつて日本海沿岸地域に色濃く分布していた造船技術がオモキ造りである。オモキ造りとは、船底板の左右両端に刳材オモキを組み込んだ構造をいい、ウルシによる接着や木製接合具であるチキリとタタラの使用など、特徴的な接合技術が付随する。本州日本海側のほぼ中央に位置する富山県においては、海船だけでなく川舟にもオモキ造りと棚板造りの船が併存する状況が見て取れる。だが、多様だった川舟の多くは失われ、現在その構造が分かる資料は極めて少ない。
 今回の報告では、富山県内に現存する川舟について、その概要を紹介するとともに、船体構造によって分類し、検討を加える。

【講師プロフィール】
廣瀬 直樹(ひろせ なおき・日本海事史学会会員)
1977年富山県生まれ。専門は考古学・民具学。平成13年度より氷見市立博物館の学芸員を務める。平成15年、氷見市内の船大工とともに和船建造技術を後世に伝える会を結成し、調査・研究を行う。平成23年、「富山の和船~富山湾沿岸地域とその周辺の海船・川舟~」で第25回日本民具学会研究奨励賞を受賞。現在、氷見市立博物館主査(学芸員)。

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