日本海事史学会 第395回 例会(Web#14)
元和航海記の朔望表の原典を求めて
講師:山田 義裕(やまだ よしひろ・会員)
2021年12月18日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催
池田好運の「元和航海記」には、天文航海のための太陽の赤緯表と共に海の潮汐を知るための月の朔望表が載せられている。この表は19年間の毎月の朔望が、1615年から1690年に対応し、その後も「永年」に使えるようになっている。太陽の赤緯表の原典を探し求め、スペインのロドリーゴ・サモラーノの「航海術要覧」を見つけたように、この朔望表の原典をスペインとポルトガルの書物の中に長年求めてきたので、これを報告したい。
古代インド、バビロニア、エジプトの天文表がギリシャのプトレマイオスの理論に補強され、アラビアにおける改良を経て中世のスペインに到達し、スペイン語とラテン語に翻訳された。しかしこの段階ではいまだ、天文表は天文学者と修道僧の一部にしか理解できないものであった。これらの天文表の中から月の朔望だけを取り出し、誰にも一目瞭然の形にした表が15世紀のスペインで現れ、ベストセラーとなった。
【講師プロフィール】
山田 義裕(やまだ よしひろ・会員)
1968 年に早大政治学科を卒業し、現在の日本製鉄に入社。スペイン、ブラジル、メキシコに滞在。
1973 年に当会に入会。海外では「国際海事技術史会議」参加メンバー。
16-17 世紀のスペインとポルトガルの造船史と航海術史が主たる関心分野。