日本海事史学会

最新のお知らせ


  • 第409回例会(Web#28) 2023.3.25
    2023年3月例会チラシ
    日本海事史学会 第409回 例会(Web#28)

    尾州小野浦(愛知県知多郡美浜町)廻船の歴史 序論
    ―「久住*」一統との関係をさぐる―

    講師:樋口 茂生(ひぐち しげお・会員)

    2023年3月25日(土)
    14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
    Zoomにて開催

     

     報告者の地元小野浦は廻船業で有名であり、寛文末期~文政前期(1671-1822)の知多郡では、大野、半田、師崎に次ぐ廻船数を誇っていたが、古文書が未発見のため、内海の戎講等に比べ研究は極めて不十分であった。そこで、客船帳・石造物・地籍図等により小野浦廻船の痕跡を足で探索した。その結果、日本海側5港の客船帳に小野浦廻船の記録があり、船主中に久住(船印有)を認めた。その足跡は金毘羅宮玉垣(同船印有)・和田神社燈籠でも確認でき、地元小野浦の地籍図・土地台帳でも久住籍(同船印有)を含め確認した。さらに、「久住五左衞門」を含む3件の古文書を発見した。現段階では全てではないが、小野浦廻船(中須にも注目)は「久住」一統の集団を支える役割を担っていたと推定される。
     知多廻船史研究は海事史学会諸先輩が先鞭をつけたものである。これに感謝しつつ報告し、ご批判を請う。

     〔*注〕「久住」は「江戸店持伊勢商人」のひとり。

    【講師プロフィール】
    樋口 茂生(ひぐち しげお・会員)

    千葉県の元環境系研究者。

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  • 第408回例会(Web#27) 2023.2.18
    2023年2月例会チラシ
    日本海事史学会 第408回 例会(Web#27)

    幕末長州藩の海事志向と渡辺蒿蔵
    ―松下村塾から造船の道―

    講師:牛見 真博(うしみ まさひろ・会員)

    2023年2月18日(土)
    14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
    Zoomにて開催

     

     長州藩の渡辺蒿蔵(天野清三郎、1843-1939)は、吉田松陰の松下村塾で学び、志士として活動した後、海外留学し造船を学んだ。帰国後は工部省に入り、明治7年には官営長崎造船所第二代所長(後に長崎造船局初代局長)となり、近代造船業の礎を築いた。
     その背景としての幕末長州藩における吉田松陰をはじめとする海事志向を踏まえながら、志士から造船の道に進んだ渡辺蒿蔵への影響を含めて概観したい。

     

    【講師プロフィール】
    牛見 真博(うしみ まさひろ・会員)

    1976年生まれ。立命館大学文学部卒業後、山口県の高校教諭として奉職。勤務の傍ら、山口大学大学院博士課程修了。博士(学術)。
    著書に『長州藩教育の源流―徂徠学者・山県周南と藩校明倫館―』(溪水社、2013年)。現在、大島商船高等専門学校教授。

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  • 第407回例会(Web#26) 2023.1.28
    2023年1月例会チラシ
    日本海事史学会 第407回 例会(Web#26)

    兵庫縣漁業慣行録を読む―打瀬網盛衰記

    講師:大谷 和夫(おおたに かずお・会員)

    2023年1月28日(土)
    14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
    Zoomにて開催

     

     明治22(1889)年に県によって刊行された「兵庫縣漁業慣行録」は兵庫県下の明治維新前後の漁業の実態を明らかにしたもので約2000 枚の報告書である。その中に、源頼朝や徳川家康の漁業への優遇として打瀬網の開発がある。打瀬網はその方法として帆を掲げ風を受けて横向きに船を滑らせるという画期的なものであり、本書ではその隆盛と明治期に入ってからの衰退について記している。
     また、大阪湾奥部の岸和田市や、播磨灘沿岸部に広がる鹿ノ瀬という浅海では漁場紛争が多数あったことから、その経緯についても報告する。

     

    【講師プロフィール】
    大谷 和夫(おおたに かずお・会員)

    兵庫県庁の元水産技術系職員

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  • 第406回例会(Web#25) 2022.12.17
    2022年12月例会チラシ
    日本海事史学会 第406回 例会(Web#25)

    クレードルによる進水の歴史
    ―そしてヘダ号、開成丸、戦艦武蔵

    講師:山田 義裕(やまだ よしひろ・会員)

    2022年12月17日(土)
    14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
    Zoomにて開催

     

     昔も今も進水は造船の中で最もクリティカルな工程である。そのリスク軽減のためにクレードルが使われ、17世紀のイタリア、ポルトガル、スペインにおいてその図像と解説が現れた。18世紀以降は、主にフランスと英国の書物の中で、それらの特徴と進化の過程を知ることが出来る。日本では幕末に、失った船の代船としてロシア人の指導の下にヘダ号を建造した時に始めてクレードルの使用を学んだ。仙台藩の開成丸の進水の図にもそれが認められる。これらを紹介し、最後に最大の戦艦であった武蔵の進水に話を及ばせたい。

     

    【講師プロフィール】
    山田 義裕(やまだ よしひろ・会員)

    1968年に早大政治学科を卒業し、現在の日本製鉄に入社。スペイン、ブラジル、メキシコに滞在。
    1973年に当会に入会。海外では「国際海事技術史会議」参加メンバー。
    16-17世紀のスペインとポルトガルの造船史と航海術史が主たる関心分野。


  • 第405回例会(Web#24) 2022.11.26
    2022年11月例会チラシ
    日本海事史学会 第405回 例会(Web#24)

    弁才船の船体と上廻りの変遷

    講師:安達 裕之(あだち ひろゆき・会員)

    2022年11月26日(土)
    14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
    Zoomにて開催

     

     慶長期の『厳島遊楽図屏風』(東京国立博物館蔵)に登場して以来、明治時代まで弁才船は国内海運の主力として活躍した。船体の基本構造こそ変わらなかったものの、3世紀の間に船体と上廻りは様々に変化した。パリの図面集(F.E.Paris, Souvenirs de Marine, vol.6)に載る明治21年(1888)の1500石積弁才船の淵源が『厳島遊楽図屏風』の船にあろうとは誰も思うまい。
     本報告では弁才船の船体と上廻りの変遷を概観することにしたい。

     

    【講師プロフィール】
    安達 裕之(あだち ひろゆき・日本海事史学会会員)

    1947年大阪市生まれ、1972年東京大学工学部船舶工学科卒業、同教養学部に勤務して、2012年に退職。東京大学名誉教授。専門は日本造船史。
    おもな著書:『異様の船-洋式船 導入と鎖国体制-』(平凡社、1995年)


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