日本海事史学会

最新のお知らせ


  • 第417回例会(Web#36) 2023.12.23
    2023年12月例会チラシ
    日本海事史学会 第417回例会(Web#36)

    富山県の川舟について ―現存資料からみた構造と分類―

    講師:廣瀬 直樹(ひろせ なおき・会員)

    2023年12月23日(土)
    14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
    Zoomにて開催

     

     かつて日本海沿岸地域に色濃く分布していた造船技術がオモキ造りである。オモキ造りとは、船底板の左右両端に刳材オモキを組み込んだ構造をいい、ウルシによる接着や木製接合具であるチキリとタタラの使用など、特徴的な接合技術が付随する。本州日本海側のほぼ中央に位置する富山県においては、海船だけでなく川舟にもオモキ造りと棚板造りの船が併存する状況が見て取れる。だが、多様だった川舟の多くは失われ、現在その構造が分かる資料は極めて少ない。
     今回の報告では、富山県内に現存する川舟について、その概要を紹介するとともに、船体構造によって分類し、検討を加える。

    【講師プロフィール】
    廣瀬 直樹(ひろせ なおき・日本海事史学会会員)
    1977年富山県生まれ。専門は考古学・民具学。平成13年度より氷見市立博物館の学芸員を務める。平成15年、氷見市内の船大工とともに和船建造技術を後世に伝える会を結成し、調査・研究を行う。平成23年、「富山の和船~富山湾沿岸地域とその周辺の海船・川舟~」で第25回日本民具学会研究奨励賞を受賞。現在、氷見市立博物館主査(学芸員)。

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  • 第416回例会(Web#35) 2023.11.26
    2023年11月例会チラシ
    日本海事史学会 第416回例会(Web#35)

    オランダ別段風説書-その舶来から翻訳まで-

    講師:松本 英治(まつもと えいじ・会員)

    2023年11月26日(日)
    14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
    Zoomにて開催

     

     オランダ別段風説書とは、アヘン戦争を契機として、オランダ船がもたらした詳細な海外情報です。
     当初はアヘン戦争情報に限定されましたが、やがて内容は世界情勢一般へと変化し、諸国・諸地域の動向、戦争や動乱、技術進歩、自然災害などを報じるとともに、列強の海軍情報も記載されています。オランダ語原文が舶来され、長崎と江戸で翻訳が行われました。
     科研費の共同研究で、取り扱いと翻訳作業を検討する機会を得ましたので、その成果を会員の皆様にお話ししたいと思います。

    【講師プロフィール】
    松本 英治(まつもと えいじ・日本海事史学会会員)
    1973年生まれ。現在、開成高等学校教諭。東洋大学非常勤講師。日本海事史学会理事。洋学史学会評議員。著書に『近世後期の対外政策と軍事・情報』(吉川弘文館、2016年)。専門は近世対外関係史。洋学史。

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  • 第415回例会(Web#34) 2023.10.28
    2023年10月例会チラシ
    日本海事史学会 第415回例会(Web#34)

    「復元弁才船」みちのく丸の建造と帆走
    みちのく北方漁船博物館の活動を回顧

    講師:昆 政明(こん まさあき・会員)

    2023年10月28日(土)
    14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
    Zoomにて開催

     

     1999年から2013年まで青森市で活動したみちのく北方漁船博物館。実態は「船の博物館」として漁船のみならず、国内国外の木造船と関連資料を収集展示する海事博物館であった。1999年には千石積相当の弁才船を建造、翌年より陸奥湾内で帆走を行ってきた。2011年には日本海航路をたどり、青森港から北海道小樽港、南下して島根県の美保関港までをタグボートで曳航し、訪問先の港外で帆走を実施した。2013年には太平洋を同様に巡航東京湾内で帆走を披露した。
     今回はみちのく丸の建造と帆走を中心に報告し、合わせて海事博物館の活動と問題点についても紹介する。

    【講師プロフィール】
    昆 政明(こん まさあき・日本海事史学会会員)
    1950年青森県生まれ。1973年法政大学地理学科を卒業後靑森県立郷土館学芸員。学芸課長として退職後、2011年から神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科特任教授。
    専門は民俗、民具学。今年度定年退職予定。

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  • 第414回例会(Web#33) 2023.9.23
    2023年9月例会チラシ
    日本海事史学会 第414回例会(Web#33)

    大陸の南と北の船-出土船による中国造船史の回顧

    講師:安達 裕之(あだち ひろゆき・会員)

    2023年9月23日(土・祝)
    14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
    Zoomにて開催

     

     1973年(昭和48)に福建省泉州湾の后渚港で中国最初の海船が出土して以来、中国・韓国・日本で出土した中国の海船は9艘を数える。今年は奇しくも泉州古船出土50周年にあたるので、出土船による中国造船史を回顧して、問題点を明らかにしたい。

    【講師プロフィール】

    安達 裕之(あだち ひろゆき・日本海事史学会会員)

    1947年大阪市生まれ、1972年東京大学工学部船舶工学科卒業、同教養学部に勤務して、2012年に退職。東京大学名誉教授。専門は日本造船史。
    おもな著書:『異様の船-洋式船 導入と鎖国体制-』(平凡社、1995年)

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  • 第413回例会(Web#32) 2023.7.22
    2023年7月例会チラシ 修正版
    日本海事史学会 第413回 例会(Web#32)

    五輪聖火を運んだ「遣唐使船」から見えた「伸子帆」の性能
      ~山口県宇部市の石炭産業の輸送を担ったその帆走性能

    講師:今井 常夫(いまい つねお・会員)

    2023年7月22日(土)
    14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
    Zoomにて開催

     

     日本の帆船と言えば、前回の講演で紹介された江戸期の弁財船に見られる巨大な一枚帆が先ずイメージされる。しかし西日本では遣唐使船の時代から朱印船、小型のものでは沖縄のサバニに至るまで、フルバテンの入った「伸子帆」が一般的な帆走艤装だった。近年、サバニによる帆走レースも沖縄で開催されているが、複数の帆柱を備えた本船での「伸子帆」の操作方法と帆走性能は謎で、歴史小説や評伝に登場しても帆走技術としてずっと違和感を抱いていた。
     瀬戸内海を航海していた曽祖父の石炭帆船は3本マストの洋式船体に伸子帆が交互に艤装された“逆合いの子船”だが、その船に実際に乗っていた大伯父によると「洋式の帆は人手がかかるし風上への切り上がり性能が悪いから伸子帆に取り換えた」のだという。
     今回、五輪聖火リレーイベントのためのレプリカではあったものの、実際に大型の「伸子帆」を長崎港内で操作する機会を得たことにより、長年の疑問に答えが見出せた。それは<浪華丸>を実際に帆走させて「和船は追い風でしか走れなかった」という歴史家の常識を覆したことと同じ貴重な実証実験だった。

    【講師プロフィール】

    今井 常夫(いまい つねお・日本海事史学会会員)

    1982年英国帆船〈マルコムミラー〉に日本人として初乗船して英仏間航海、88年西オーストラリア帆船〈ルーウィン〉で建国200年タスマニア~シドニー国際帆船レースに参加。91年企業協賛による日本初の民間セイルトレーニング帆船〈海星〉を発足、ヨーロッパから大西洋、太平洋を舞台に16か月間に渡る「地球再発見の航海」を実施。93年運輸省財団法人として認可され、常務理事事務局長として「海の祭典」をはじめ全国の海事催事に参加しながら帆船航海を通じた育成プログラムを実施。2002年の解散までに全国から延べ2万人以上が航海に参加した。
    97年東アジア初の国際帆船レース「香港~沖縄~鹿児島~大阪 Sail Osaka’97」の基本計画から全体運営に携わった後、98年から大阪港開発技術協会参事として大阪市帆船〈あこがれ〉の事業活性化と共に、オリンピック招致に向けた世界一周事業「あこがれワールドセイル2000」の企画運営を担当。
    2002年丹青社に移籍、愛知万博などの国際イベントのほか海事博物館の企画や指定管理などを担当。
    2021年角川文化振興財団の依頼により、2010 年上海万博のために建造された〈遣唐使船〉を復活・就航させ、東京オリンピック長崎聖火リレーイベントを実現した。
    著書に「船長になるには」(ぺりかん社)、翻訳監修に「白い嵐/アルバトロス号最後の航海」(ソニーマガジンズ)など、最近の雑誌記事にSea Dream誌「地球と語る 時と航海術」、KAZI誌「聖火によって蘇った古の遣唐使船」(2021年7月号)「マンガが描く新酒番船 奥深き帆船レースの世界」(2017年9月号)など。
    http://tallshipchallenge.jp/imai-history

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