最新のお知らせ
- 第431回例会(Web#49) 2025.5.24
日本海事史学会 第431回 例会(Web#48)
続 尾州小野浦(愛知県知多郡美浜町)廻船の歴史
―「久住*」一統手船との関わり―講師:樋口 茂生(ひぐち しげお・会員)
2025年5月24日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催前報(第409回例会)は、小野浦廻船の存在を証明する目的で、5港の客船帳を根拠に同廻船の日本海側進出を明らかにした。その中で、「久住」の船印(図1中の△一三角印)に注目を促した。一方、同廻船の記録を残す石造物として、金毘羅宮「永代講」玉垣(香川県)を対象に調査研究した。
これまでに、同「船印」刻印(現状では改修により削除、文献によった)の存在や「久住店手舩」(図2)に着目した研究はない。図2中の記録:「△一三角印 久榮丸 八百吉」は図1にも全く同じ部分があるが、なぜであろう。また「久住」一統の手船形式による廻船運航の展開はよく知られておらず、新たな問題提起になろう。他に、江戸店や白子店からの小野浦転入の事実も発見された。詳細は例会で述べる。〔*注〕久住は「江戸店持伊勢商人」である。
【講師プロフィール】
■樋口 茂生(ひぐち しげお・日本海事史学会会員)
千葉県の元環境系研究者。非会員の方のお申し込みはこちらから→
- 第430回例会(Web#48) 2025.4.26
日本海事史学会 第430回例会(Web#48)
ポルトガルの黒船―1580年のフェルナンド・オリヴェイラ「ナオ船の建造の書」―
講師:山田 義裕(やまだ よしひろ・会員)
2025年4月26日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催2006年4月の例会において「16世紀ポルトガルの奇才・冒険家フェルナンド・オリヴェイラ―『ナウ船の建造の書』の著者―」を発表してから20年近くが経ち、漸くこの「ナオ船の建造の書」(以後「建造の書」と称する)全文の翻訳が完成したので、その内容を中心に報告したい。
オリヴェイラは波乱に富む生涯を過ごしたが、晩年に「建造の書」を著し、その自筆本がリスボンの国立図書館に保存されている。その内容は、船の設計が中心ではあるが、木材、瀝青(黒船の名称の由来)等にはじまり、船の建造に関して広範に及んでいる。文章は明快であり、また何枚もの図面が挿入されている。【講師プロフィール】
■山田 義裕(やまだ よしひろ・日本海事史学会会員)
1968年に早大政治学科を卒業し、現在の日本製鉄に入社。スペイン、ブラジル、メキシコに滞在。
1973年に当会に入会。海外では「国際海事科学史会議」参加メンバー。
16-17世紀のスペインとポルトガルの造船史と航海術史が主たる関心分野。非会員のお申し込みはこちらから→
- 第429回例会(Web#47) 2025.3.29
日本海事史学会 第429回例会(Web#47)
第2次世界大戦後の海運環境の変化と
武力紛争法への影響講師:浦口 薫(うらぐち かおる・会員)
2025年3月29日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催国際法の形成は、その当時の国際環境の影響を受け、とりわけ、武力紛争法の発展は成立当時の軍事科学技術の発展状況と切り離して考えることができない。海戦法規は帆船の時代の国家実行の蓄積を通じて徐々に形成され、1856年のパリ宣言と1909年のロンドン宣言を中核とする慣習法として結実した。しかし、帆船は動力船に切り替わり、貨物を船倉に直接積み込んでいた貨物船はコンテナ船が中心となり、近年では無人運航船の実現が目前に迫っている。このような現実に対して、「時代を超越した規則(Timeless Rules)」とも評される海戦法規が上手く対応できたのか、また、これからも上手く対応していけるのかについては疑問が残る。本報告では、第2次世界大戦後の海運環境の変化として、特に顕著といえる貨物のコンテナ化と商船の大型化、便宜置籍船の増加及び無人運航船の登場に焦点を当て、それらが海戦法規に及ぼした影響を分析する。
【講師プロフィール】
■浦口 薫(うらぐち かおる・日本海事史学会会員)
防衛大学校国際関係論学科卒業後、海上自衛隊入隊。防大総合安全保障研究科前期課程修了(山﨑学生奨励賞受賞)、同後期課程満期退学。2020年に大阪大学より博士号(国際公共政策)授与。潜水艦部隊、統合幕僚監部等での勤務や中曽根平和研究所主任研究員等の研究活動を経て、現在、防大国防論教育室准教授(2等海佐)。
著書:『封鎖法の現代的意義』(大阪大学出版会、2023年)(猪木正道賞奨励賞受賞)。
論文:『海事史研究』第81号に「第二次世界大戦後の海運環境の変化と海戦法規への影響」の寄稿があるほか、多数の査読論文あり。
学会報告:「海上封鎖の現代的意義」国際法学会への報告、2022年9月等。
専門:海洋安全保障、国際法(特に海戦法規、海洋法)。
所属学会:日本海事史学会、日本防衛学会、国際法学会、世界法学会、防衛法学会、国際安全保障学会等。非会員のお申し込みはこちらから→
- 第428回例会(Web#46) 2025.2.22
日本海事史学会 第428回例会(Web#46)
伊丹諸白下り酒
~源流からたどる弁才船の航跡~講師:高見 昌弘(たかみ まさひろ・会員)
2025年2月22日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催清酒発祥の地 伊丹から江戸へ、往時の航路を追体験。2024年10月20日~11月3日
セーリングヨット愛好家と日本酒を愛する市民ボランティア有志が企画。遂行を振り返る。
2025大阪・関西万博を盛り上げようと関西の海で活動するヨット仲間が集った「なにわの海の交流会」と菱垣廻船「浪華丸」がきっかけで「源流からたどる」をキーワードに菰樽に入れた清酒を運んでみた。- 兵庫県伊丹市~陸路~舟運~酒問屋の守護神 新川大神宮(東京都中央区)へ
- 蔵元から出した清酒を可能な限り往時のルートで運ぶ
- 波に揺られた樽酒は美味しくなるのか
【講師プロフィール】
■高見 昌弘(たかみ まさひろ・日本海事史学会会員)
1958年生。兵庫県伊丹市在住。
なにわの海の交流会 伊丹諸白下り酒プロジェクト実行委員会委員長。
1993年より大阪市セイルトレーニングシップ、帆船「あこがれ」にボランティアスタッフとして参加。初めて帆船による活動をする中、大阪大学名誉教授、野本謙作先生の帆走理論などセイリングに関する講演を聴講。
1998年、野本先生と日立造船堺工場へ、建造中の浪華丸を見ながら説明をうける。後に帆走実験の実現に向け乗組員の確保などを手伝う。1999年の帆走実験に自身も乗船した。
その後、浪華丸の1/3試作船を山車として2013年から港の賑わいに活用。また、2017年5月ヨット・サザンクロス号の協力を得て大阪港開港150年を記念し「風まち港、菱垣廻船の航跡」ほか江戸から明治にかけての海を追体験する航海を企画して実施。弁才船、菱垣廻船をテーマに浪華丸の保存と展示を目指し活動を続けています。非会員のお申し込みはこちらから→
- 第427回例会(Web#45) 2025.1.25
日本海事史学会 第427回例会(Web#45)
淀水垂大下津町遺跡から出土した江戸時代の川船について
―(公財)京都市埋蔵文化財研究所・訪問記録より―講師:影山 和則(かげやま かずのり・会員)
ゲスト:中谷俊哉氏ほか(京都市埋蔵文化財研究所学芸員)2025年1月25日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催京都市伏見区の桂川西岸で、江戸時代前期の木造の川船が出土した。(公財)京都市埋蔵文化財研究所の調査は2021年11月〜2024年5月に行われ船6隻が確認された。今後の調査でも新た船が見つかる可能性が高く、木造の船を造る技術が発達した歴史を解明する上で貴重な発見という。そして、出土した川船に丸太をくりぬいた木材を使う「オモキ造り」の構造が確認された。淀川の船の歴史で刳船、復材刳船、準構造船などに至る変化に新たな見解が生まれる可能性があると期待されている。今回は、(公財)京都市埋蔵文化財研究所のご厚意により「オモキ造り」の川船を見学させていただくことができたので報告させていただく。また、京都市埋蔵文化財研究所の方も例会での意見を伺いたいということでWebで参加していただくことになった。
【講師プロフィール】
■影山 和則(かげやま かずのり・日本海事史学会会員)
1954年生まれ
大学卒業後、1979年から2019年まで埼玉県の試験研究機関に勤務。伝統工芸の製品開発、職人技術継承等に取り組んできた。日本海事史学会には学生の頃から参加し高瀬舟等の資料を集め論文を投稿してきた。著書に「ものが生まれる産地、ものを輝かせるデザイン」等。
現在、さいたま市産業創造財団、武蔵野美術大学、滋賀県立大学、明星大学等の特別講師。非会員のお申し込みはこちらから→
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