学会の歴史

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日本海事史学会 設立の趣意

 『海原のうまし国、あきつの島、大和の国』日本の海ー。日本の象徴として船の生んだ、はなばなしい文化。その匂いの残る貴重な古記録・遺物は、長い歳月の流れるままに顧みるものも少なく、無慈悲に蝕まれてくち、邪魔者として逸散し、また貴重なるが故に、あまりにも深く秘蔵されたまま、すべての『昔』は消えつつあります。今の時期をのがせば、それこそ永久に、日本の文化史の上に取り返しのつかない断層ができる恐れがあります。もちろん、今まで、その研究は幾人かの先覚者が、優れた業績を残してはおりますが、各地に散在する資料の綜合調査やその研究に至っては、極めて不充分といわねばなりません。
 そこで、このたび、海事一般に関する歴史・法律・民俗・水産・考古・船舶・航海・海運など、あらゆる分野の交流をはかり、綜合研究の『場』として資料の綜合調査ならびにその保存、研究、情報の交換、相互研究の促進、一般社会への啓蒙など、多角的な活動を目的とする「日本海事史学会」を設立いたしました。ご賛同、ご協力賜りますよう切望いたします。

日本海事史学会設立趣意書(昭和38年(1963)発行『海事史研究』創刊号より)


沿革

昭和36年(1961)東大教養学部須藤利一教授を中心とした造船史研究会と神戸商船大教授を中心とする同様のグループが合体して日本造船史研究会が結成される。
当初メンバーは東京側が須藤利一、小佐田哲男、田中建、石井謙治、関西側が南波松太郎、松本哲、田中巽の計7名であった。
岩生成一教授(当時、東大を退官して日大教授)から、東方学研究日本委員会(ハーバード・エンチン補助金)に研究助成申請のアドバイスを受け上記7名で「日本造船史の研究」をテーマに申請し採択され研究費を受ける。
この研究費により日本各地の造船および海運関係資料の調査を実施する。
10月28日 東京神田学士会館で第一回準備会を行う。
昭和37年(1962)6月3日 東大教養学部で開催された「近世日本船舶資料展」の最終日に在京メンバーを中心に第二回準備会を行う。
10月31日 西宮市芦屋会館で関西のメンバーを加えた第三回準備会を行う。
12月9日 東京虎ノ門共済会館にて発起人会が開催され「日本海事史研究会」から現在の「日本海事史学会」に名称が改正され、同会場にて設立総会が開催された。
会長 住田正一 副会長 南波松太郎
昭和38年(1963)12月1日「海事史研究」の創刊号を出版する。
昭和39年(1964)日本海事広報協会からの賛助金を受ける。
昭和40年(1965)「海事史研究」が日本学術会議より学術刊行物の承認を受ける。
5月8日 須藤利一副会長に就任 海事博物館(現船の科学館)の設立計画へ協賛する。
6月12日 日本海事史学会東海センター設立
昭和41年(1966)9月5日~12日 海事史国際会議に国際海事史学会長より招請を受ける 於ベイルート
昭和44年(1969)日本海事広報協会の事業として「続海事資料叢書」第1巻を発行する。
昭和45年(1970)6月6日 南波松太郎、第2代会長に就任。副会長須藤利一
昭和52年(1977)7月2日 石井謙治、田中健夫副会長に就任
昭和60年(1985)7月6日 南波松太郎会長辞任、石井謙治副会長が会長に主任
昭和61年(1981)「続海事資料叢書」全10巻が完成する。
7月19日 小佐田哲男理事 副会長に就任
平成5年(1993)7月「海事史研究」創立30周年記念号(会誌第50号)発刊
平成7年(1995)5月「日本海事史の諸問題」3冊 石井謙治編 刊行
平成10年(1998)大阪市による 国立国会図書館蔵「千石積菱垣廻船二拾分一図」を基本資料とした菱垣廻船の復元について協力。総会を大阪住吉大社記念館にて行い復元船を見学する。
平成11年(1999)菱垣廻船の復元船が完成、大阪湾にて試験操行について協力。
平成12年(2000)9月23日 石井謙治会長辞任 安達裕之理事、第4代会長に就任。
平成13年(2001)9月29日 石井謙治前会長を名誉会長に、松木哲理事が副会長に就任
平成16年(2004)安達会長、和船文化・技術研究会 徳島藩御召鯨船「千山丸」の保存と調査を行い測量に用いるトータルステイションで船の外形を計測する。
平成20年(2008)3月28日~5月23日 東京大学駒場博物館「平賀譲とその時代-一高生から東大総長へ」協賛、展示協力し記念講演会を開催する。
平成22年(2011)安達会長、雛形からみた弁才船 上下を船の科学館叢書として出版。
平成24年(2013)「海事史研究」創立50周年記念号(会誌第70号)発刊

歴代会長

歴代会長

名誉会長

  • 南波松太郎 昭和60年(1985)~平成7年(1995)
  • 石井 謙治 平成13年(2001)~平成28年(2016)