第400回例会(Web#19) 2022.05.28

第400回例会チラシ
日本海事史学会 第399回 例会(Web#18)

菱垣廻船浪華丸の復元を回顧する

講師:安達 裕之(あだち ひろゆき・会員)

2022年5月28日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 

 1994年6月、市制100周年を記念して大阪市は、「なにわの海の時空館」の目玉展示物とすべく弁才船の復元を企て、数ある弁才船の中から大阪と縁の深い菱垣廻船を復元船に選んだ。5年後の1999年7月、復元船は完成し、浪華丸と命名された。以来、四半世紀、弁才船についての新たな知見も得られたので、往時を回顧することにしたい。

【講師プロフィール】
安達 裕之(あだち ひろゆき)日本海事史学会会員

1947年大阪市生まれ、1972年東京大学工学部船舶工学科卒業、同教養学部に勤務して、2012年に退職。東京大学名誉教授。専門は日本造船史。
おもな著書:『異様の船-洋式船 導入と鎖国体制-』(平凡社、1995年)

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第399回例会(Web#18) 2022.03.26

第399回例会チラシ
日本海事史学会 第399回 例会(Web#18)

精読・船長日記――50種の写本から見えてくるもの

講師:春名 徹(はるなあきら・会員)

2022年4月23日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 

 尾張の廻船督乗丸は文化10年(1813)初冬に漂流、同12年春にアメリカ船にカリフォルニア沖で救助されるまで、「海上漂流484日という世界の海事史上最長となる壮絶な経験をした。『船長日記』は船頭重吉による経験を三河新城藩の池田寛親がまとめた記録である。それは多様な読みを可能とする漂流記である。この物語の力は語り手(船頭重吉)の経験の壮絶さによるのか、あるいは記録者(池田寛親)の力量によるのか、読者の興味をひくのは海上経験の過酷さなのか、送還にあたったロシア人の極東での動向なのか?
 現存する写本およそ50種を読んでみると、テキスト数種のヴァリエーション、記録の継承の型、写本を共有しようという衝動などが見えてくる。
⦅船長日記⦆というテキストを共有したいという衝動は、幕末の識字率の向上を背景に、在村蘭学、国学と結びつき、幕末型の図書館運動への展望をも内包しているのである。

【講師プロフィール】
春名 徹(はるな あきら) 日本海事史学会会員

南島史学会会員。東京大学文学部東洋史学会卒。東アジアの海域史、特に漂流・漂着に関心がある。
近著は『文明開化に抵抗した男 佐田介石 1818-1882』(藤原書店)。専攻とは全然、関係ない。

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第398回例会(Web#17) 2022.03.26

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日本海事史学会 第398回 例会(Web#17)

東シナ海周辺部の石干見(いしひび)

講師:岩淵 聡文(いわぶち あきふみ・会員)

2022年3月26日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 

 石干見とは定置漁具の一種で、汀線から沖に向かって半円形に石を積み上げた構築物である。高潮時に石干見は完全に海没する一方、低潮時にはその全貌が干潟地に現出する。その際、石干見内には障壁のために逃げ遅れた魚類が残留することになり、これらが傷害漁具や袋網などにより捕獲される。
 東シナ海周辺部は世界でも、石干見漁が集約的に観察できる地域である。中国では16世紀、日本では18世紀初頭の史料に、すでに石干見の存在が明記されている。

【講師プロフィール】
岩淵 聡文(いわぶち あきふみ・日本海事史学会会員)

東京に生まれる。オックスフォード大学大学院社会人類学科博士課程修了。東京海洋大学大学院(ユネスコ水中考古学大学連携ネットワーク)教授。
イコモス国際水中文化遺産委員会日本代表委員。日本海洋政策学会理事。海洋立国懇話会理事。NPO法人アジア水中考古学研究所理事。国連海洋科学の10年(2021~2030年)は、「現地住民・伝統的な生態学上の知識・気候変動:象徴的水中文化遺産としての石干見」(代表:岩淵)を行動プロジェクトに認定している。

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第397回 例会(Web#16) 2022.2.26

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日本海事史学会 第397回 例会(Web#16)

ゴローヴニーン事件 ロシア海軍士官ムールの獄中上申書
日本在留希望はかなえられたか

講師:岩下 哲典(いわした てつのり・会員)

2022年2月26日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 

 1811年国後で捕縛されたゴローヴニーン一行のナンバー2ムールは、日本在留を希望する上申書を提出した。残念ながらロシア語原文は確認されていない。
 昨年、上申書の江戸時代日本語を現代語訳して英訳した本を出版した報告者が、上申書の中身とムールのその後、また日本史上の影響などを追う。

【講師プロフィール】
岩下 哲典(いわした てつのり・日本海事史学会会員)

1962年長野県塩尻市「たのめの里」生まれ。1994年青山学院大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程満期退学。2001年博士(歴史学)。明海大学ホスピタリティ・ツーリズム学部教授をへて現在東洋大学文学部教授。
主な編・著書:『江戸無血開城』『解説「金海奇観」と19世紀の日本』『東アジアのボーダーを考える』『高邁なる幕臣 高橋泥舟』『日本のインテリジュンス』『江戸時代来日外国人人名辞典』『江戸将軍が見た地球』『龍馬の世界認識』『幕末日本の情報活動』『江戸の海外情報ネットワーク』『予告されていたペリー来航と幕末情報戦争』『江戸のナポレオン伝説』『近世日本の海外情報』など多数。

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第396回 例会(Web#15) 2022.1.22

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日本海事史学会 第396回 例会(Web#15)

三浦氏の日宋貿易と筑前鐘御崎・鎌倉和賀江嶋の築港

講師:鈴木 かほる(すずき かほる・会員)

2022年1月22日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 

 承久の乱(1221年)後、後鳥羽院の敗北によって、宗像社領は将軍家が領家となり、駿河守三浦義村の嫡子泰村が預所として荘務を管理することになった。これにより宗像地域を支配し南宋貿易に携わってきた海洋豪族・宗像氏は、幕府御家人に組み入れられ、三浦氏が南宋貿易を引き継ぐことになる。筑前国鐘御崎および鎌倉和賀江嶋は、その日宋貿易の絶頂期に相次いで築かれた人工島である。
 この二つの築港の勧進僧は往阿弥陀仏であり、依頼者は南宋貿易の権益を掌握していた三浦泰村とその父三浦義村と考えられる。

【講師プロフィール】
鈴木 かほる(すずき かほる・会員)

国家公務員特別職

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第395回 例会(Web#14) 2021.12.18

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日本海事史学会 第395回 例会(Web#14)

元和航海記の朔望表の原典を求めて

講師:山田 義裕(やまだ よしひろ・会員)

2021年12月18日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 

 池田好運の「元和航海記」には、天文航海のための太陽の赤緯表と共に海の潮汐を知るための月の朔望表が載せられている。この表は19年間の毎月の朔望が、1615年から1690年に対応し、その後も「永年」に使えるようになっている。太陽の赤緯表の原典を探し求め、スペインのロドリーゴ・サモラーノの「航海術要覧」を見つけたように、この朔望表の原典をスペインとポルトガルの書物の中に長年求めてきたので、これを報告したい。

 古代インド、バビロニア、エジプトの天文表がギリシャのプトレマイオスの理論に補強され、アラビアにおける改良を経て中世のスペインに到達し、スペイン語とラテン語に翻訳された。しかしこの段階ではいまだ、天文表は天文学者と修道僧の一部にしか理解できないものであった。これらの天文表の中から月の朔望だけを取り出し、誰にも一目瞭然の形にした表が15世紀のスペインで現れ、ベストセラーとなった。

【講師プロフィール】
山田 義裕(やまだ よしひろ・会員)

1968 年に早大政治学科を卒業し、現在の日本製鉄に入社。スペイン、ブラジル、メキシコに滞在。
1973 年に当会に入会。海外では「国際海事技術史会議」参加メンバー。
16-17 世紀のスペインとポルトガルの造船史と航海術史が主たる関心分野。

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第394回 例会(Web#13) 2021.11.27

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日本海事史学会 第394回例会(Web例会#13)

オスマン帝国から見た近世地中海世界

講師:相磯 尚子(あいいそ なおこ・会員)

2021年11月27日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 

 プレヴェザ海戦やレパント海戦など、有名な海戦の舞台となった近世地中海世界の歴史は、しばしばヨーロッパの目線から語られてきた。しかし、その海の半分を掌握していたオスマン帝国の存在は無視できない。
 本報告では最新の研究を紹介したうえで、オスマン語で書かれた行政文書を活用し、16世紀から17世紀にかけてオスマン帝国が関わった海の活動を描き出す。そのうえで、分析を試み、新しい環地中海世界史観への一助としたい。

【講師プロフィール】
相磯 尚子(あいいそ なおこ・会員)

2017年4月より慶應義塾大学大学院 後期博士課程在籍、2020年4月より日本学術振興会特別研究員。小学生の頃ゲーム「大航海時代II」にハマり、海と帆船への熱意を抱いたまま人生を突き進んだところ、なぜか博士課程にまで進学していた。専門はオスマン帝国史。2018年9月よりトルコ共和国のイスタンブルへ留学し、2021年3月に帰国、コロナ禍にめげずなんとか得た留学の成果を示したい。


第393回 例会(Web#12) 2021.10.23

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日本海事史学会 第393回例会(Web例会#12)

北日本のムダマハギ

講師:昆 政明(こん まさあき・会員)

2021年10月23日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 

 東北地方の北部から北海道にかけて「ムダマハギ」と称される小型木造漁船が近年まで稼働していた。
 ムダマハギとは船底部にムダマと呼ばれる構造部材を使用し、ハギとはそれに舷側板を接合(接ぐ)ことから名付けられたもので、時代、地域によって多様な変化を遂げている。
 船底部に刳り材を使用する点では、日本海沿岸のオモキに類似するものであり、それとの関連にもふれながら、ムダマハギの概要について紹介させていただきたい。

【講師プロフィール】
昆 政明(こん まさあき・日本海事史学会会員)

1950年 青森県生まれ。
1973年 法政大学地理学科卒業。
1973年 青森県立郷土館学芸員2012年まで。
1999年 みちのく北方漁船博物館建設および運営に関与。
2013年 神奈川大学特任教授、現在に至る。

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第392回 例会(Web#11) 2021.09.26

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日本海事史学会 第392回例会(Web例会#11)

第二次戦時標準木造貨物船について
―瀬田勝哉著『戦争が巨木を伐った 太平洋戦争と供木運動・木造船』を読む―

講師:安達 裕之(あだち ひろゆき・会員)

2021年9月26日(日)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 

 昭和18年1月、戦局の悪化と海上輸送力の緊急な増強に対応して、政府は木造貨物船の大量且つ急速な建造方策を決定して、昭和17年制定の5種の第一次戦時標準木造貨物船を3種に整理した第二次戰時標準木造貨物船の建造に踏み切り、2月から軍需造船供木運動を全国に展開した。
 戦標木造船については橋本徳壽が『日本木造船史話』で取り上げているが、供木運動まで視野に入れて綜合的に論じた研究は瀬田を措いて他にない。しかし、瀬田の研究は画龍点睛を欠く憾みがある。肝心の第二次戦標木造船の像が曖昧模糊としているからである。
 そこで本報告では第二次戦標木造船の実像を提示したい。

【講師プロフィール】
安達 裕之(あだち ひろゆき・日本海事史学会会員)

1947年大阪市生まれ、1972年東京大学工学部船舶工学科卒業、同教養学部に勤務して、2012年に退職。東京大学名誉教授。
専門は日本造船史。
おもな著書:『異様の船-洋式船 導入と鎖国体制-』(平凡社、1995年)