
日本海事史学会 第435回 例会(Web#53)
明治初期の民間蒸気船の機関についての一考察
~明治7年「全国艦舩其外調書」を中心に~
講師:中尾 光一(なかお こういち・会員)
2025年11月22日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催
前報(第426回)では明治初期の造船技術者に関して報告の機会を頂いたが、蒸気機関の入手先などの疑問が残った。そこで今回は、民間蒸気船の機関について報告したい。
明治初期の民間蒸気船について『日本近世造船史』では「偶に民間において新船を造ることあるもその機関は悉く海軍造船所に託され」低調だったとしているが、実際には国内各地で民間蒸気船が建造されている。明治7年「全国艦舩其外調書」(『太政類典』)によると保有蒸気船は118隻、その内訳は国内建造40隻・外国建造47隻・建造地不明31隻であり、民間蒸気船は伊豆の戸田で「石明丸」(製造人は上田寅吉、後に開拓使が購入)、滋賀県で「彦根丸」や「渉湖丸」他6隻など各地で建造されていた。これらの船の建造過程を分析することで明治初期の造船・造機の実態を明らかにしていきたい。
【講師プロフィール】
中尾 光一(なかお こういち・日本海事史学会会員)
1975年大阪府生まれ。花園大学文学部史学科(近現代史)卒業。同大学院修士課程修了。現在は花園大学文学部日本史学科助手。
主要論文は、「海軍艦政局創設に関する一考察 ―初代局長伊藤雋吉を中心として―」(『花園大学文学部紀要』2020年)、「幕末から明治初期における造船技術者に関する一考察 ―緒明菊三郎と緒明造船所を中心として―」(『花園史学』2023年)など。
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