日本海事史学会 第4回 Web例会
「フェートン号事件を検証する」
講師:大井 昇(おおい のぼる・会員)
2021年1月23日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催
フェートン号事件とは1808年8月イギリス軍艦フェートン号が長崎港内に侵入し、出島のオランダ商館員2人を捕虜とし、水や食料品、牛を強要し退去、長崎奉行松平図書頭の引責切腹という悲劇を起こした良く知られた事件である。この報告は、オランダおよびイギリス側の史料、日本側の今まで見逃されていた史料などを通し、フェートン号事件に係る数々の疑問を検証する。すなわち、フェートン号来航の真の目的、長崎奉行の反応、国際公法についての認識、フェートン号事件は不意打ちであったとする通説、当時の台場(石火矢台)の状態、焼打ちなどの攻撃は可能で勝ち目はあったか、奉行はなぜ切腹したのか、などについて検証を試みる。
【講師プロフィール】
大井 昇(おおい のぼる・会員)
原子力技術者として東芝で35年勤め、役職定年後、ウイーンの国際原子力機関‘(IAEA)で8年間勤務。帰国後、原子力産業会議参与、大学の非常勤講師など。2002年になり、江戸で御徒を勤めていた曽祖父が長崎奉行与力として派遣されたことを知り、歴史の勉強の道に入り『幕臣サブロスキー、江戸と長崎で終焉を見た男」』「(2007、長崎文献社)を刊行。その後、洋学史研究会を拠りどころとして、長崎奉行所関連の研究と範囲は広がり『長崎絵図帖の世界』(2019、長崎文献社)を刊行するなど。2019年洋学史研究会は解散となり、日本海事史研究会に入会。