第390回 例会(Web#9) 2021.06.19

日本海事史学会 第9回 Web例会

「明治時代における軍艦と商船の機関用語について」

講師:佐野 美穂(さの みほ・会員)

2021年6月19日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 日本における近代造船史は、200年以上にわたり江戸幕府が施行した大船建造禁止令が解かれた幕末から明治にかけて幕を開ける。時を同じくして西欧でも、帆船から蒸気船への転換期を迎えていた。事実、日本に開国を迫ったペリー艦隊は、4隻のうち2隻が蒸気軍艦、2隻が帆船という編成であった。日本はその後、昭和初頭に当時世界最大級と言われた戦艦大和を建造するまでに至った。
 遥か先を行く西欧列国に追いつき、追い越すほどの進歩を可能にしたのは、西欧に学んだ新技術である蒸気機関を自国で生産、運用できる人材育成に力を注いだからで、その際、他の分野同様西欧から移入した新技術の専門用語の存在を抜きに語ることはできない。いち早く用語の重要性を認識し、実際に制定を手掛けたのは、軍艦を運用する海軍と、商船を管轄する逓信省であった。
 今までスポットライトが当たらなかった舶用蒸気機関用語が、明治期にどのような経過を経て整えられていったのか、その経緯を史料に基づき能う限り忠実に辿るのが本研究の目的である。

【講師プロフィール】
佐野 美穂(さの みほ・日本海事史学会会員)
船との出会いは、新卒で入社したアパレルメーカーで初めての夏休みに上司にスナイプに乗せてもらい、セールと舵だけで風上にも上っていけるヨットの面白さに開眼したのがきっかけ。
いつか本格的に練習したいと思いつつ20有余年を経た後、自分でも果たしてその意欲に変わりはないか半信半疑で若洲のヨット訓練所に申し込み、以来毎週末通い詰めるほど熱中。教訓・好きなことに年齢は関係ない。
数年後には26フィート木造ヨットのクルーを仰せつかり、小型船舶免許を取得。その講習を受けた海洋大学でバイトをすることになったのが縁で、大学院に社会人入学。専攻は海洋環境保全学。安達先生の全面的バックアップのおかげで、5年がかりでようやくこの春修士修了。