日本海事史学会 第6回 Web例会
「農民の漂流日記 ―上乗の遭難と異国体験―」
講師:小林 郁(こばやし かおる・会員)
2021年3月20日(土祝)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催
宝暦十一年(1761年)。奥州福島の城米を積んだ福吉丸は荒浜を出帆後、暴風で遭難した。漂流のすえ、福吉丸は清国の南通州(中国江蘇省南通市)にたどりつく。地元民の手厚い救護を受けた一行は、蘇州、上海を経て日本へ帰ることができた。この事件は、『通航一覧』や石井研堂の『異国漂流奇譚集』によって知られていた。ところが1958年、福吉丸に乗っていた上乗百姓武右衛門(山田武左衛門)の漂流日記が福島市大笹生で発見され、話題となった。2010年には、大笹生笹谷文化財保存会により現代語訳が刊行されている。
海を遠く離れた山里に暮らす農民は、異国漂流体験をどのように綴ったのか。武右衛門の日記と、今も残る彼の墓石を紹介したい。
【講師プロフィール】
小林 郁(こばやし かおる・会員)
1964 年生まれ。東京都東村山市在住。
江戸・明治期の漂流民にかかわる文書、墓石、位牌、遺品、伝承などを求めて日本各地を巡っている。
著書に『嘉永無人島漂流記』(三一書房)、『松栄丸「広東」漂流物語』(無明舎出版)、『新編鳥島漂着物語』(天夢人)がある。