第441回例会(Web#58) 2026.05.23

2026年5月例会チラシ
日本海事史学会 第441回 例会(Web#58)

菱垣廻船安穏丸の太平洋漂流
―アメリカ捕鯨船に救助された最初の日本人―

講師:小林 郁(こばやし かおる・会員)

2026年5月23日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 越中船長者丸の乗組員は天保9年(1838年)に遭難し、翌年アメリカの捕鯨船に救助された。欧米の捕鯨船が日本人漂流民を救助したのは、これが最初とされている。
 しかし新村出は「太平洋の捕鯨船と日本の開国」の中で、それより前の文政8年(1825年)に「大阪の漂民」が欧米の捕鯨船に救助された可能性を指摘した(『新村出選集』第二巻)。「大阪の漂民」とは、大坂商人柏屋勘兵衛が所持する菱垣廻船・安穏丸の乗組員である。
 このたびの例会では、まずハワイ在住の宣教師レヴィ・チェンバレンの日記をもとに安穏丸漂流民を救助したのがアメリカ・ナンタケット島の捕鯨船オーロラ号(セス・コフィンJr.船長)であることを明らかにする。その上で、安穏丸漂流民が漂到したのはどこの海岸なのかを推理してみたい。

【講師プロフィール】
小林 郁(こばやし かおる・日本海事史学会会員)
1964年生まれ。東京都東村山市在住。
江戸・明治・大正期の漂流民に関心を持ち、各地で調査を続けている。
著書に『新編鳥島漂着物語』(天夢人、2018年)など。

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第399回例会(Web#18) 2022.03.26

第399回例会チラシ
日本海事史学会 第399回 例会(Web#18)

精読・船長日記――50種の写本から見えてくるもの

講師:春名 徹(はるなあきら・会員)

2022年4月23日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 

 尾張の廻船督乗丸は文化10年(1813)初冬に漂流、同12年春にアメリカ船にカリフォルニア沖で救助されるまで、「海上漂流484日という世界の海事史上最長となる壮絶な経験をした。『船長日記』は船頭重吉による経験を三河新城藩の池田寛親がまとめた記録である。それは多様な読みを可能とする漂流記である。この物語の力は語り手(船頭重吉)の経験の壮絶さによるのか、あるいは記録者(池田寛親)の力量によるのか、読者の興味をひくのは海上経験の過酷さなのか、送還にあたったロシア人の極東での動向なのか?
 現存する写本およそ50種を読んでみると、テキスト数種のヴァリエーション、記録の継承の型、写本を共有しようという衝動などが見えてくる。
⦅船長日記⦆というテキストを共有したいという衝動は、幕末の識字率の向上を背景に、在村蘭学、国学と結びつき、幕末型の図書館運動への展望をも内包しているのである。

【講師プロフィール】
春名 徹(はるな あきら) 日本海事史学会会員

南島史学会会員。東京大学文学部東洋史学会卒。東アジアの海域史、特に漂流・漂着に関心がある。
近著は『文明開化に抵抗した男 佐田介石 1818-1882』(藤原書店)。専攻とは全然、関係ない。


第391回 例会(Web#10) 2021.07.25

第391回例会チラシ
日本海事史学会 第10回 Web例会

「洋学と漂流・漂流記」

講師:松本 英治(まつもと えいじ・会員)

2021年7月25日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

 近く思文閣出版より洋学史学会監修『洋学史研究事典』が刊行されます。報告者は、研究篇「洋学の社会的基盤」の一項目として、「漂流と漂流記」を執筆する機会を得ました。執筆では、「漂流と漂流記」を「洋学の社会的基盤」としてどうとらえるか、四苦八苦しました。
 洋学の発展と漂流の関係、洋学者による編纂物漂流記の成立など、執筆に際して考えたことを、大槻玄沢の事績を中心に報告し、会員の皆様のご批正を賜りたいと思います。

【講師プロフィール】
松本 英治(まつもと えいじ・日本海事史学会会員)
開成中学校・高等学校教諭。東洋大学非常勤講師。2020年より日本海事史学会理事。
著書に『近世後期の対外政策と軍事・情報』(吉川弘文館、2016年)。