第386回 例会(Web#5) 2021.02.28

日本海事史学会 第5回 Web例会

「オモキ造りの構造とその技術
 ―富山県氷見地域のドブネを中心に―」

講師:廣瀬 直樹(ひろせ なおき・会員)

2021年2月28日(日)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

かつて日本海沿岸地域に色濃く分布していた造船技術がオモキ造りである。オモキ造りとは、船底板の左右両端に刳材オモキを組み込んだ構造をいい、ウルシによる接着や木製接合具であるチキリとタタラの使用など、特徴的な接合技術が付随する。今回の報告では、近年まで活躍したオモキ造りの漁船のうち、最大級の船体を持つ富山県氷見地域のドブネを一例として、オモキ造りの船体構造の特徴とその造船技術について検討を加える。

【講師プロフィール】
廣瀬 直樹(ひろせ なおき・会員)
1977年富山県生まれ。専門は考古学・民具学。平成13年度より氷見市立博物館の学芸員を務める。平成15年、氷見市内の船大工とともに和船建造技術を後世に伝える会を結成し、調査・研究を行う。平成23年、「富山の和船~富山湾沿岸地域とその周辺の海船・川舟~」で第25回日本民具学会研究奨励賞を受賞。現在、氷見市立博物館主査(学芸員)。


第385回 例会(Web#4) 2021.01.23

日本海事史学会 第4回 Web例会

「フェートン号事件を検証する」

講師:大井 昇(おおい のぼる・会員)

2021年1月23日(土)
14:00~16:00(ルームオープン 13:30)
Zoomにて開催

フェートン号事件とは1808年8月イギリス軍艦フェートン号が長崎港内に侵入し、出島のオランダ商館員2人を捕虜とし、水や食料品、牛を強要し退去、長崎奉行松平図書頭の引責切腹という悲劇を起こした良く知られた事件である。この報告は、オランダおよびイギリス側の史料、日本側の今まで見逃されていた史料などを通し、フェートン号事件に係る数々の疑問を検証する。すなわち、フェートン号来航の真の目的、長崎奉行の反応、国際公法についての認識、フェートン号事件は不意打ちであったとする通説、当時の台場(石火矢台)の状態、焼打ちなどの攻撃は可能で勝ち目はあったか、奉行はなぜ切腹したのか、などについて検証を試みる。

【講師プロフィール】
大井 昇(おおい のぼる・会員)
原子力技術者として東芝で35年勤め、役職定年後、ウイーンの国際原子力機関‘(IAEA)で8年間勤務。帰国後、原子力産業会議参与、大学の非常勤講師など。2002年になり、江戸で御徒を勤めていた曽祖父が長崎奉行与力として派遣されたことを知り、歴史の勉強の道に入り『幕臣サブロスキー、江戸と長崎で終焉を見た男」』「(2007、長崎文献社)を刊行。その後、洋学史研究会を拠りどころとして、長崎奉行所関連の研究と範囲は広がり『長崎絵図帖の世界』(2019、長崎文献社)を刊行するなど。2019年洋学史研究会は解散となり、日本海事史研究会に入会。